先日、工事中のお施主様から「釘の打込み深さ」について
ご指摘を受けました。
重要なことではありますが、技術的で詳細な部分なので
お施主様には特別にご説明する機会はないのですが
たしかに、知っておくべきことだと思いまして、
この場をかりてご説明したいと思います。
最初に、当社の「施工要領」から釘に関する部分の
抜粋したものを以下に載せます。
構造用金物はZマーク表示品あるいは同等認定品とする
釘、ビスは打ち付ける板厚の2.5倍以上とする
壁用構造用合板(ケナボード)の固定は釘CN50とする
釘ピッチは、ジョイント部100mm以下、中央部200mm以下
とし、釘のめり込みは絶対にあってはならない
釘のめり込みの場合はすぐそばに釘を打ちなおすこと
ケナボードの軸組みへのかかりしろは柱には52.5mm以上、
梁、土台には45mm以上とする
釘はケナボード縁より柱では25mm以上、梁、土台で20mm以上
の空きを取ること
ケナボード 910mm×3000mm×4.5mmを使い。
横架材間を1枚張りとする
耐力壁箇所に下屋の屋根がかかる場合は
ケナボードを貼った後でタルキ掛けを打つこと
その他の箇所もケナボードをカットして外壁全てを
ケナボードで貼る
かならず、四周を構造材と緊結しなければならないので、
切欠きや途中切断をしてはならない
28mm床構造用合板はプレカットの割付けにあわせて
合板の取り付けを行う。
28mm床構造用合板用の釘はN75で150mmピッチ
天井野縁は303mmピッチで組み上げる
電気配線、配管及びダウンライト補強工事後に
天井用プラスターボード9.5mmをビス止めする
プラスターボードは馬に貼る
(決して4枚のボードの角が合う様に貼ってはならない)
ビスのピッチは外周部は150mm、中央部は200mm以下とする
壁プラスターボードは8尺のボードを床から天井まで
1枚物をビス留めする
吹抜けなどの場合は9尺、10尺のボードを使い
ジョイントを少なくすること
横ジョイント部には横に90mm巾の下地(例:間柱端材)
を入れること
また、柱から柱まで910mmを1枚でビス留めする
入り隅など、下地の無い場合は45角以上の下地を追加する。
下地の材木は乾燥材を使うこと
竪ジョイントは決してイモに貼ってはならない
吹抜け、階段部は梁をまたいでボードを固定すること。
梁に釘止をしてはならない
ビスのピッチは外周部は150mm、中央部は200mm以下とする
以上のように規定して工事を行っています。
「施工要領」は工事全般にわたって
詳細に標準作業要領を規定したものです。
社員、業者に周知徹底を図っています。
コレを機会に、「施工要領」「現場環境整備」を
整備して、早急にホームページに掲載いたします。
釘の深さについて、補足いたしましょう。
釘は止めるものより、固定する相手側に
より深く入っていなければ効果がありません。
そして、直角に入らない場合のほうが多いので、
「釘長さは止めつけるものの2.5倍以上」
という規定にしてあります。
これは、建設省の標準仕様ならびに施工要領に
ならってあります。
次に重要なのは
「釘頭が止めつけるものより浮いていてはならない」
ということです。
浮いていると、その上に行う仕上げ工事の妨げになりますし、
釘の首や胴の部分は横からの力に弱く、
釘頭が浮いていは
止めつけるものが固定ができていない状態となるので、
必ず、メリコムくらいに打ち付けます。
しかし、あまりメリコムと止めつけた材料が
引き抜きに弱くなるので、メリコム深さの規定もあります。
目安は四分の一です。
外壁の構造用合板9.5mmでは2 mm以下です。
当社が外壁の構造用合板に使用している
パナソニックのケナボード4.5 mmでは1 mm以下です。
床用構造用合板28 mmでは四分の一というのは
かなり余裕のある数字ですが
やはり、目安2~3 mm以内としています。
合板やプラスターボードの釘打ちで大事なことは、
メリコム以上に釘ピッチが大事です。
規定量以上の本数を必要な面積内に打つことで、
合板を柱などの下地とムラ無く緊結することになります。
かならず、規定ピッチ以内に釘を打つことが重要になります。
そもそも、釘がメリコムという現象は
カナヅチで打ちつけていた時代には無かった現象です。
釘がメリコム状況では釘の周囲に
カナヅチの打痕が残ってしまいます。
しかし、現在では仕上げ材でない限り
エアインパクト(空気圧利用)釘打機で
スパン、スパンと打ちますので
合板や下地の材木の固有の硬さの違いで
均一な深さを保つのはカナリ難しい技です。
弱めのインパクトに調整して、最後にカナヅチで手打ち
という方法を指導しています。
厚みの有る床合板ではメリコム深さに余裕がありますので、
作業性を優先して大工業者は二度手間にならないように
メリコムきみに打ってしまいます。
監督は「施工要領」に沿って釘の打ち込み状況を確認して
修正等の指示を行っています。
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