芹工務店では計画換気システムとして「バーコ」と「ルフロ」を使っています。
そもそも、法律で義務化されているので新築の家には必ず換気ファンが着いています。
そこで、換気ファンの種類を揚げますと、大きく分けて「局所型パイプファン」と「排気型換気システム」と「熱交換型換気システム」に分けられます。
江戸時代の農家では藁屋根に破風をつけて煙突代わりに、囲炉裏からの煙をそこから抜いていました。吸気は障子窓や木格子の玄関引き戸ではいくらでも空気は入り放題です。
ですから冬寒いのは当たり前でした。しかし、意外と夏は家の中は涼しかったのですよ。
何しろ厚い藁屋根は日射を防いでくれるし、大きく張り出した軒は直射日光を家の中に入れません。
また、アスファルトも無く、土の地面や周りの緑(樹木や草)が涼しい風を家の中に送ってくれるからです。
ただ、冬は寒かったんですよ。だから、厚着をしてイロリのまわりにへばりついていたのですね。
私が若い頃、スキーに行った旅館では、朝、窓辺に雪が積もって(窓の中側ですよ)、フトンのクビのまわりは凍っていました。(こたつを中心に放射状にフトンを敷いて皆で足だけこたつに入れて寝てました。)
平成15年にホルムアルデヒドなどに関する規制で「建材はホルムアルデヒドなどのVOCの排出の程度のより等級分けされて、新築住宅では☆4(フォースター)級がのぞましい」とされて、また、「24時間換気の義務化」も決められました。
それ以前は施主の自由判断でキッチン。トイレ、浴室、脱衣室、その他居室の必要なところに壁換気扇をつけるだけでした。吸気口は特に考慮されていませんでした。
でもその頃の建物はC値など問題にしていませんでしたから必要なかったのかもしれません。
そして必要なときだけ換気扇を廻していたのです。
それが、15年に換気に関する法律が改正されると、「局所型パイプファン」と「排気型換気システム」と「熱交換型換気システム」などをどの家も必ずつけなければならなくなりました。
当初は、私も不勉強で「こんな法律は電気メーカーが稼ぐ為の法律でしかなくてなにも有効ではない」と考えていました。
しかし、地球温暖化問題や住宅の快適性などを考えてくると、住宅は「高断熱・高気密」と言う考えに行き着いてきました。
すると、どうしても24時間換気は必要だという結論になるのです。
1軒の家をストローと考えると出口の換気扇、反対側の入口だけ穴が開いているとストローの中は常に新鮮な清浄空気となるのですが、ストローの途中に穴が開いているとストローの反対側の入口からは必要なジュースが入ってこないことになります。家のスキマはこの状態と一緒です。
また、途中に穴が無くても(気密度が高い状態と同じですね)長いストローを自分で吸ってみるとお分かりでしょうが、けっこう力が入ります。
換気扇も同じで「局所型パイプファン」ではごく近くの空気しか吸うことが出来なくて遠くの空気を引っ張るのは、気密度が高くてもケッコウしんどいことなのです。
もっと、専門的な話をすると台風などで外が風が強かったりするときには室外と室内の空気圧に差が出来ます。外の空気圧が高いと力の弱い換気扇ではいくらは根が廻っても排気できない状態になります。そうならないためには排気量は少なくても力強い換気扇が必要になります。
それが、計画換気システムです。
計画換気システムの場合は各室に延ばしたパイプの口径や吸気口ノガラリなどの抵抗値など色々難しい条件があるのですが、そのあたりを検討した結果、芹工務店ではリーズナブルでシッカリ効果の期待できる「バーコ」と「ルフロ」を選びました。実は、性能的には「アルデ」という計画換気システムが拠りベターだと思うのですがチョット高いのです。
国産の計画換気システムは効果をチャント得ようとすると2~3割多めの設備が必要になります。
そんなこんなで、今のところ「バーコ」と「ルフロ」に落ち着いています。
ここにいたるまで色々と試行錯誤いたしましてお客様にもご協力いただきありがとうございました。
もうひとつ良くをかけば「熱交換型換気システム」と言うものがあります。
換気をすれば家の中の空気を吸い出してしまいますから、せっかく冷暖房した部屋の空気(夏ならば冷たくした空気、冬ならば暖かくした空気)を外に出して、替わりに外の空気(夏ならば湿気の多い熱い空気、冬ならば乾燥した冷気)が入ってきて冷暖房の効果が下がってしまいます。
そこで、第一種タイプの吸気用換気扇に熱交換型のものを使い室内の温度環境を保つタイプの計画換気システムです。
ここまで設備すればパーフェクトなのですが、その代わりこの設備は高価でランニングコストもケッコウかかります。
「局所型パイプファン」は月50円くらいのランニングコストがかかります。これが6箇所あればつき300円です。「熱交換型換気システム」のランニングコストは2,000円くらいです。
「排気型換気システム」のランニングコストは80円くらいです。
ということで、私は換気による熱損失の割合を家全体の20%以下に抑えて、その分の冷暖房費は仕方なしとする「バーコ」と「ルフロ」のような排気専用の換気扇を使った計画換気システムが一番バランスの取れた選択ではないかと考えています。
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