グリーン材(伐採直後で自然乾燥や機械乾燥などの手当てを施していないもの)を納入して、施主から機が割れる音がするといわれて割れた梁などの補強をした工務店が納入業者の材木店を訴えたという事件について・・・。
争点
①グリーン材の割れは瑕疵か?
グリーン材は一般的な建材。
含水率や割れの個脳性を含めて不良品ではない。
乾燥材とは異なる性質がある。
住宅関係者として工務店が知識や配慮が欠けていた。
JAS適合は判断に影響なし
一般的に、木材には感想収縮に拠る干割れが生じるのは常識である。
グリーン材では、より起こりやすいのは確かだが、貫通割れが無ければ
強度上の問題は無い。
JAS企画やJAS標準仕様で示される含水率の標準仕様をクリアしていなくても
構造材として不適切な木材だったとは認められない。
②材木店が工務店にたいして木が割れることの説明責任があるか?
グリーン材は「安価だが十分乾燥していない含水率の高い木材」であることは
件さて業界の一般的な常識であり、木材業者が住宅会社にいちいち説明する義務は無い。
これは東京高裁で平成20年7月にでた判決です。
たしかに、業者間ではグリーン材というものが含水率が高く、乾燥収縮が激しいのは常識です。
昔の話ですが、材木やから届いた材木を大工がカンナを掛けると水が噴出してくるのを見たことがあります。
樹木は幹の中を地中からセッセと水を吸い上げて枝葉に送り生きているのですから、人間の体の半分以上が水分であるように樹木の多くの水分を含んでいても不思議ではありません。
切り出された材木は適度な環境で放置しておけば長い間に15%前後の含水率に落ち着きます。
大きな体積の主要な部分を占める水分が抜けてゆくのですから、水分の抜けた後も同じ形を保つわけにはまいりません。
ねじれたり、曲がったり、割れたりするのは仕方ないことです。
割れ方も大きく割れたり、小さく数多く割れたりと色々です。
しかし、材木はその断面の表から裏へ抜けてしまう貫通割れでなければ構造的な耐力は十分残される邸での耐力低下だということが材料試験で証明されています。
また、材木はもともと、たくさんの水分を含んだ形で生きていましたから、乾燥状態で家のなかで使われていると廻りの環境(主に湿度の変化)によって膨らんだり、縮んだりを繰り返しています。
無垢のフローリングは冬と夏では2~3mmすくのは良くあることです。
無垢材で作った玄関ドアなどは夏には枠とドアがこすれて閉まらないのに冬になると鍵が掛からないほどスカスカになることもあります。
ドア枠や、サッシ額と壁の取合いも同じことで材木のクセによってはチリが切れることもあります。
梁などの大きな材木は収縮度合いも大きいので乾燥材を使うのは常識といえます。
当社の以前の建物で天井裏になるのですが高さが40センチくらいのグリーン材の大きな梁が1.5センチも縮んだことがあります。束を立ててなおしましたが、それ以来、構造材は全部、乾燥材に切り替えました。
積層材を使えばより収縮は少なくなります。
それでも、吹抜けで化粧梁などをつかうと梁と壁にスキマのできることもあります。
無垢材である以上、どうしても避けられない部分だと思います。
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