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芹工務店の社長である私がお気楽に日々思うことなどを 徒然なるままに書かせてもらいます。

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北海道の住宅は「高断熱・高気密住宅」が当たり前です。
これは、議論以前の常識ですし、死活問題です。
外に出ているときは厚着どころか、防寒着にしますが、家の中でダウンやオーバーコートは着ないでしょう。
昔は家の中で暖炉やストーブでガンガンに火を燃して外から進入してくる寒気に負けない暖房をしていましたが、それでは暖房費がたまりません。
お隣の韓国でも日本よりズット寒くて、昔からオンドルと言う暖房方式が取られていました。
台所を居住空間より低い場所に設け、その台所で煮炊きしたときに発生する蒸気や煙(台所を使わないときは暖房のためだけに台所で火を焚く)を居間や寝室などの床下に送り込んで、土を厚く塗り、その上に油紙を敷いて床としていました。韓国も日本と同じ、室内では靴を脱いで生活する様式で、これは他の国では見られないことです。
そして、韓国では日本と違って出入り口や窓も小さくして寒冷な気候に対応する形になっていましたが、近来では家の気密が向上して、新たに、床にできたひび割れから一酸化炭素が流入し、就寝中の家族が中毒死する事故が発生するようになり、温水式の床暖房が常識になってきました。
日本の住宅もサッシなどの普及で普通に家を建ててもそこそこの機密性が確保されるようになり、北海道でも毎年、冬になると一酸化炭素中毒のニュースが報道されます。
寒い地域では暖房は欠かせませんし、暖房コストも大きなものです。
まして、中途半端な気密性のある建物でガンガン火を燃して水蒸気や二酸化炭素、一酸化炭素を発生させれば、当然事故は予測されます。
水蒸気の発生で湿度が上がれば、結露が発生してカビも生えるし、壁内の柱などの腐朽も進みます。
二酸化炭素、一酸化炭素の発生は人体に悪影響を及ぼし、命の危険も想像されることです。
当然、高断熱・高気密住宅にして計画換気で暖房コストを抑えて、空気も清浄に保つことは必要不可欠のことといえるのです。
これは、カナダやアメリカの北部、ヨーロッパの寒い地域のドイツ、イギリス、北欧地域やロシアなどでも常識です。

寒い地域の「高断熱・高気密住宅」の必要性はわかったが、沼津あたりでは温暖化してきた昨今は昔より冬も暖かく、0℃以下になることなど珍しいようなところで余分な金のかかる「高断熱・高気密住宅」は必要ないだろうというご意見があるでしょう。

私も、以前は「高断熱・高気密住宅」に懐疑的な感想を持っていましたが、何年か前の2月の完成見学会で、朝の準備の時にリビング床に乗ったときの床の冷たさ、靴下を通してビックリするような冷気が伝わってきました。
その家はオール電化でエコキュートを利用した温水床暖房を設置していたので、早速、運転開始したのですが、床暖房が効いてきてからの床の暖かさの違いをつくづく痛感したのです。
日本人の家の中での死亡原因は階段転落などに拠る事故と浴室、便所、寝室での心臓発作や脳梗塞などが起因する溺死や事故が主な原因です。
暖かい居間から廊下に出て、トイレでオシリをだしたり、浴室の冷たいタイルの床に裸で立ったり、暖かいフトンから起き上がった部屋が寒かったりするのが心臓発作や脳梗塞などの原因と考えられます。
そうした事故は北海道より、むしろ、冬でも暖かめの気候のせいで、たいした寒さ対策をしていない住宅の関東以西のほうが多いのです。
「高断熱・高気密住宅」にして家全体を同じ温度、湿度にしておくことは沼津あたりの暖かい地域でも必要なことです。
また、「高断熱・高気密住宅」は夏の暑さ対策にも有効なのです。
外部の気候と切離し家の中だけの気候を作り上げて外部の影響をミニマムにするということは、当然、寒さだけでなく暑さ対策にもなるはずです。

高断熱・高気密の家は魔法瓶と同じ効果があると考えてください。
熱いお湯を魔法瓶に入れたら長く熱い温度を保ってくれます。
冷たい水を入れたら同じように長く冷たい温度を保ってくれます。
でも、どちらも永遠に同じ温度を保てるわけではありません。
何時間か過ぎれば冷めてしまいます。
そもそも断熱材と言う言葉が誤解の素です。
断熱材は熱を遮断するものと思っている方結構多いと思いますが、読んで字の如しではないのが断熱材なんです。正確に表現すると熱伝導遅延素材という表現のほうが解りやすいでしょう。つまり熱の伝わり方を遅らせるための熱の抵抗素材なのです。JIS規格で規定する熱伝導率が0.06W/(m・K)以下の熱伝導遅延素材を通例、断熱材と表現しています。
ですから夏や冬は締め切りで使っていなければ部屋の中は段々と暑くなったり、寒くなったりしてしまうわけです。
そこで、この魔法瓶の中にエアコンや暖房機を入れて家を冷蔵庫や温蔵庫のようにしてやるわけです。
家庭の冷蔵庫や大きな冷凍倉庫も周囲をスチロールなどの断熱材で囲ってエアコンを回しているだけです。
家庭の冷蔵庫は小型のエアコンで冷凍倉庫などは住宅や事務所ビルで使う隠蔽タイプのエアコンとまったく同じものです。
高断熱・高気密にしてもエアコンや暖房機は必要ですが、ここからが差の出るところですが、断熱効果つまり熱伝導遅延効果が高いので一般の住宅よりもエアコンや暖房機の能力が小さくて済みます。おおざっぱに言えば半分でOKです。
だからエアコンの電気代が少なくて済むわけです。
そこで、もうひとつ使い方の特徴は「ぜひ、シーズンになったらエアコンも暖房機もスイッチを入れっぱなしで使ってみてください。」ということ。
私の理想はシーズン中ズットです。
夏は7月から9月いっぱい、冬は11月末から3月いっぱいとつけっぱなしでよいと思います。
今のエアコンはインバータータイプで自分で温度感知をしてシッカリ設定温度をキープしてくれます。
そもそも、エアコンや冷蔵庫などのモーターを回すタイプは起動時に大きな負荷がかかって電気代がかかるのです。蛍光灯もひんぱんにスイッチの入り切りするより電気代がかからないし、寿命も長いといわれますが、エアコンも同じです。

ちょっと、話題を変えて・・・
そもそも、人間の体感温度というのは周囲の空気の温度だけで決まるのではないそうです。
熱はエネルギーの移動形態の一つです。物体間で仕事を通じて移動する以外のエネルギーの移動形態を熱といいます(伝導・対流・輻射)。
人間も周囲を包んでくれる部屋の空気から伝導あるいは対流、そして周りの壁、天井から輻射という形で熱を感じてトータルで熱い寒いを感じるのだそうです。
そこで、部屋の中の空気の温度だけでなく、床、壁、天井の温度が大事になるのです。
いかに、部屋の空気の温度を上げても、床や壁や天井が外気温度で冷たかったり、暑かったりするとエアコンの効きが悪いなどということになってドンドン、エアコンの設定温度を下げたりすることになるのです。
断熱効果の高い高断熱・高気密の家ではエアコンや暖房機を回し続けることで家の中の床、壁、天井の温度を家の空気の温度と同じにすれば家の中全部が同じ温度になって気持ちよくすごせるわけです。
また、そうすることで夏のエアコンの設定温度も28℃、冬の暖房機の設定温度も20℃というゆるい温度で十分効果がでるので、そこでまた電気代が安くなるわけです。
こうして、設定温度をゆるくしてつけっぱなしにしていても、こまめに入り切りするのと電気代に差は出ずに、部屋は快適になるはずです。

そして、春や秋の気持ちよい季節になってエアコンや暖房機が必要でない季節には思いっきり窓を開けて外の空気を家に取り込んでください。

同じく当社のお客様で天井ファンをつけているお客様に聞くと、エアコン、暖房機をつけて天井ファンも回すと効果が違うそうです。
空気をかき回してくれるので部屋の上下の温度が均一になる効果があるよです。
吹抜けや階段を通して1,2階の温度も一緒になるようです。
私もこれからは積極的に天井ファンをお勧めするつもりです。

私が考える、高断熱・高気密の組み合わせの理想は「アイシネンにLow-Eペアガラス樹脂サッシとエアコンと蓄熱タイプの床暖房」です。
これはけっして贅沢ではありません。
確かにイニシャルコストは高くなりますがランニングコストは確実に低く抑えられます。
イニシャルコストとランニングコストのトータルでは確実に安くなるはずです。
仮にトータルのコストが同じだったとしても、ガマンする生活より快適な空間が手に入るほうが良くはありませんか。

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